リフォーム営業マンの思い込み
顧客に言われたことだけしかできない営業マンの悩み
現在も研修を続けているあるリフォーム会社の3年前のA君のことを想い出した。
若手リフォーム営業マンのA君は、会社への問合せやお得意様からの紹介のお客様から要望があったリフォーム案件のみは制約できるが、そこからの提案による発展がなく、全く成績が伸びない。つまりお客様に言われたことだけを行う営業で、単品リフォーム営業パターンから脱却できないのである。本人は自分の提案力不足、営業トーク能力の不足であると悩み、営業的なセンスがないと落ち込んでいた。
しかしA君は、研修では、他のメンバーよりも提案やトークがよくできている。トークが下手でもないし、営業センスがないとは思えないのである。そう伝えると、本人は実践ではトークがうまく出来ないと言い、また落ち込むのである。
営業提案力を妨げる「思い込み」
しかしよく話を聞いてみると、A君の「思い込み」が提案力を妨げていることがわかった。
例えば、
この客様は、それ以上のことは望んでいないのではないか。
お客様に予算以上の提案をしてはいけないのではないのか。
余分な提案、高額商品の提案をすると迷惑になり嫌がられるのではないか。
提案してお客様が沈黙していたり、それは必要ないと言われると、自分が否定されているのではないかと思い、積極的な提案ができなくなる。
このようなことで、お客様からの要望だけで、本来しなければならないお客様のことを考えた提案営業をせず、中途半端で終わる状態になっていた。
売ろうとするのでなく、顧客本位のヒアリングを!
結局は、自分が嫌われたくないという気持ちや、お客様がそれ以上のことを望まれていないなどの思い込みがあり、ヒアリング、提案、クロージングをする気持ちにストップをかけているのである。
これは営業マンによくある思い込みで、提案するのに勇気がいり、躊躇する状態になる。
「営業しよう」「売ろう」とする気持ちが大きく、お客様本位の気持ちを忘れて、丁寧で掘り下げたヒアリングができず、そこからの問題解決と提案ができずに終わる。
営業テクニックの不足も当然あるが、それよりも本質的に顧客の困りごと、問題をヒアリングすることろに至るまでの所で、勝手な思い込みで自分の心にストップをかけていたのである。
営業とは、お客様の満足を叶えること、ヒアリングを十分にして問題を引き出すこと。問題を解決する方法を提案することである。
その本質を忘れるくらい、営業を展開できないくらい思い込みが強かったのである。
現在A君は営業部の係長となり、営業成績も順調で顧客本位の営業ができており、後輩を育てている。
研修においても非常に優秀で、常に前向きであり頼もしい。
今も、いろいろな経験や挫折を繰り返しながらではあるが、ぎっしりと実が詰まった旨味のある営業マンに成長しようとしている。