2019年11月施行予定、注文戸建住宅、賃貸アパートの住宅のトップランナー制度
これまで、住宅事業建築主の供給する建売戸建住宅のみが住宅トップランナー制度の対象でしたが、注文戸建住宅を年間300棟以上(約70社)、賃貸アパートを1000戸以上(約10社)供給する大手住宅事業者にも拡大されることになります。
住宅トップランナー制度とは
2015年7月に「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(「建築物省エネ法」」が制定された。
2017年4月1日には、住宅トップランナー制度が施行された。これは、断熱性能の確保と効率性の高い建築設備の導入等によって、一層の省エネ性能の向上を誘導する政策です。
対象は、年間150棟以上の新築建売戸建て住宅を供給する住宅事業建築主で、住宅トップランナー基準に照らして必要がある場合には、国土交通大臣が省エネ性能の向上を勧告することができ、この勧告に従わなかった場合には、その旨を公表できる制度です。
新築建売戸建て住宅のトップランナー基準とは
■2019年度まで : 一次エネルギー消費量基準(省エネ基準▲10%相当)外皮性能は考慮しない■2020年度
・外皮基準 :各年度に供給する全ての住宅が省エネ基準に適合
・一次エネ基準:各年度に供給する全ての住宅の平均で省エネ基準▲15%に適合
国土交通省の資料(2019年8月)では、一次エネルギー量基準の水準を満たしている住宅事業者は約37%。外皮性能基準について水準を満たしている住宅事業者は、約61%という結果です。これを見ても建売住宅で、エアコン、高効率給湯器などの省エネ設備を設置できず、一次エネルギー基準を満たすことができない住宅が多いことが把握できます。
2019年5月17日に「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律」公布
戸建住宅等に対する措置として
トップランナー制度の対象に、注文戸建住宅・賃貸アパートを供給する大手住宅事業者を追加することとなり、法律の公布の日から6ヶ月以内に施行と示されました。下の国土交通省の資料を参考にご覧ください。
【注文戸建住宅と賃貸アパートのトップランナー基準】
● 注文戸建住宅のトップランナー基準
目標年度:2024年度以降
外皮基準:各年度に供給する全ての住宅が省エネ基準に適合
一次エネ基準:各年度に供給する全ての住宅の平均で省エネ基準※に比べて25%削減。
ただし、当面の一次エネ基準としては、各年度に供給する全ての住宅の平均で省エネ基準※に比べて20%削減とする。
※ その他一次エネルギー消費量を除く
●賃貸アパートのトップランナー基準
対象:年間1,000戸以 上供給する住宅事業者目標年度:2024年度以降
外皮基準:各年度に供給する全ての住宅が省エネ基準に適合
一次エネ基準:各年度に供給する全ての住宅の平均で省エネ基準※に比べて10%削減
※その他一次エネルギー消費量を除く
この数字を見て、大量に供給される住宅の省エネ性能を上げることが、大きな課題になっていることがわかります。オーナーの意向が強い賃貸アパートや、購入しやすい価格設定の注文住宅に対し、エアコンやLED照明、高性能な給湯器などの省エネ設備を設置して一次エネルギー消費量を削減できるかが鍵となります。
省エネの勉強が必須の時代に
省エネ計算に強いことを前提にし、設計計画、設備や仕様の工夫によって、価格も適正に保ちながら、いかに省エネが実現できるかを考える人材が必要な時代が住宅会社に到来しました。
技術者だけでなく、営業マンも省エネを理解し、省エネ住宅がなぜお客様にとって大切なのか、どういう仕様が基準を満たすかなどを顧客が納得できるように話ができるように自主的に学ぶ時代が来たようです。
サクラ・ワークのSsapo(エスサポ)では、省エネ住宅やリフォーム、国策の研修をしております。
2019年10月26日 17:00