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改正建築基準法施行 準防火地域の建蔽率緩和

月島もんじゃストリート_コピー

【月島へもんじゃ焼を食べに行ってふと思った。。。】

サクラ・ワークの事務所がある東京都中央区には、もんじゃ焼で有名な「月島もんじゃストリート(月島西仲通り商店街)」があります。全長500メートルの商店街に60軒以上のもんじゃ専門店が並び、情緒ある観光地になっています。月島は、高層マンションがそびえたつ現代の東京らしい風景と、裏道には下町情緒あふれる懐かしさを感じる木造家屋が密集して立ち並ぶ街並みがマッチングしたウォーターフロントで、夜景も美しくとても風情があります。そんな風景に惹かれ、月島に今日は街歩きがてらもんじゃ焼でも食べようかとぶらっと出かけました。

月島はもんじゃストリートの雰囲気から、江戸時代からあると思われるかもしれませんが、実は明治25年に、石川島と佃島の延長に埋め立てによって造られた人工島です。天保改正御江戸大絵図を見ると、江戸時代には月島がなかったことが明確です。佃島江戸時代の

東京は、埋め立てによって人工造成された湾岸地域、河川や海の堆積作用によって形成された泥・砂などが積み重なった低地、武蔵野台地を川が削ってできた谷底平野など、低地や地盤が緩い土地も多く、地震の影響が多大で液状化被害も起こりやすい地域があります。また、木造住宅が密集していて道が狭く非難に戸惑うかもしれないと思われる地区が多くみられます。いつ起こるかわからない地震に備え、地域の状況や建物状態を把握し、防災についての認識を高めて、地震対策に役立てる必要があります。

【建物倒壊危険度と火災危険度、総合危険度を認知する】

東京都では、2018年3月に「地震に関する地域危険度測定調査(第8回)」を公表しました。地震の揺れにより、「建物倒壊危険度」「火災危険度」「災害時活動困難度」を測定し、総合危険度を町丁ごとに1~5のランク(1が危険度が低く、5が高い)で評価しています。例として荒川区の表を載せておきました。地震危険度一覧 東京都都市整備局
東京都では、総合危険度が高い地域は、足立区南部から荒川区、葛飾区西部、墨田区北部、江東区北部のいわゆる荒川~隅田川沿いの地域。品川区南西部、大田区中央部、北区北部、豊島区北部、中野区、杉並区東部でも危険度が高い地域がみられ、多くの地域で地震被害が起こる可能性があります。
東京地震総合危険マップ

【木造住宅密集地域の防災化が課題】

地震が起こると、建物倒壊の他に、火災、避難困難が発生する危険性があります。
住生活基本計画(全国計画)では、2020年までに「地震時等に著しく危険な密集市街地の面積」約6,000haを概ね解消するという目標を定め、国土交通省は防災対策のために「地震時等に著しく危険な密集市街地について」(2012年)を報道発表しています。その中で、首都圏のみならず、中部、関西、四国、九州に至るまでの全国の197地区、5,745haが延焼危険性、避難困難性が高く、地震時等において最低限の安全性を確保することが困難である危険な密集市街地として改善を促しています。しかし、2018年度末時点で約4,000haが未解消で早急な改善を課題としている状況です。
 住宅密集地 国土交通省資料より

地震で危険とされる住宅密集地

・木造の老朽化した建物が多い。
・火災に弱い建物が多く隣の建物間の距離が狭く、道路、通路も狭いため火災が拡大する。
ということから、地震時に耐震基準、構造など現行の建築基準法に適合しない建築物等が倒壊し、避難通路を防ぎ、火災が拡大するという最悪のケースが予想されています。
 

【知っておきたい延焼限界距離】

地震時の火災で知っておくと良いのは、「延焼限界距離」です。延焼限界距離とは、連続延焼が起こらない最小限の隣棟間隔のことです。
 
内閣府より「延焼シミュレーションの具体例」の資料が情報提供されています。この資料は、裸木造、防火木造、準耐火造、耐火造の構造で、関東大震災クラスの地震火災を設定して風速12mでシュミレーションされています。
結果は、防火木造、2階建て(2階部分のセットバックなし)で、

30 分以内の消火活動>

防火木造で棟間隔を 12m程度確保すれば延焼はしない。

60 分を越えてからの消火活動>

風速 12m/s では、防火木造で棟間隔を 12m程度確保しても延焼してしまう。
ということです。
 
延焼限界距離は、火災発生から30分以内の消火活動で、防火木造以上の構造にし、隣棟間隔を12メートル以上とる必要があることになります。建物の構造の留意はもちろん、迅速な消防活動ができる道幅の確保、散水設備の整備、避難場所の確保も必要であることが把握できます。
 

【進まない密集住宅地の悩み】月島路地_コピー

国や自治体での都市レベルでの取り組みとしては、広幅員道路、大規模公園、不燃建築物の整備や共同建替が必須で、現在進められています。
 
しかし、地区レベルでの建て替えは、建築基準法上の接道の問題や容積率、建蔽率、斜線制限などの問題がありなかなか進まない状況があります。例えば、地権や建替えにより家が狭くなる、費用の不足、住民の高齢化による建替え意欲の問題等様々な問題が絡み合い、安全面が確保されていない状況を、国や自治体が解決の手を差し伸べることが必要になっています。

 
【準防火地域内で、建蔽率10%緩和に建築基準法改正】

2019625日、改正建築基準法が全面施行されました。その目玉として、建蔽率の緩和が施行されました。 

①建蔽率の緩和

「密集市街地等において、延焼防止性能の高い建築物への建替え等を促進」を目的として、準防火地域内で準耐火建築物を建てる場合に建蔽率10%緩和ができることになりました。それまでは、防火地域に建つ耐火建築物には、建蔽率を10%緩和する規定しかありませんでしたが、準防火地域に広げ、準耐火建築物に対しても緩和措置を適用することになりました。

 
②防火、準防火地域で、要件をクリアすれば木材のあらわし等の設計が可能

防火、準防火地域において外壁、窓の防火性能を向上させることで、内部の柱等に木材を使用できる。設計、デザインの幅も広がるようになりました。
 

全面道路側に壁面線指定を行った場合等の建蔽率緩和

特定行政庁が前面道路の境界線から後退した壁面線の指定をした場合等で、特定行政庁が安全上、防火上や衛生上支障がないと認めた場合は、建築物の建蔽率を緩和できるようになりました。
それによって避難通路の幅や消火活動の場所の確保ができる事になりました。
 建蔽率緩和1
建蔽率緩和2

【密集住宅地解消に推奨されるまちづくり誘導手法】

建築基準法の一律の基準を守ることだけでは、地域の状態に制限ができて建て替えが進まないことがあります。建築基準法第40条、第50条等では、地方公共団体が条例を定めることにより、建物の構造や敷地、接道問題や建蔽率緩和などに関する規定を追加できるようになっています。策定権限の多くは地方公共団体にあり、それをまちづくり誘導手法として密集市街地の解消に役立てています。
東京都中央区月島でも、道路に接していなくても建替えられるルールをつくり、地区特有の情緒や風景を残しながら、建替えが可能になっている地域があります。
参考:月島地区 地区計画の手引き
 
このようにまちづくり誘導手法についても知識を持ちながら、地震に強い街づくりのための新築・リフォームに取り組むことが必要です。
 

【街歩きが楽しい 月島でもんじゃ】

もんじゃ焼きのお店は、東京ならここかしこにありますが、街歩きを楽しみ、河のある風景を堪能するには、やはり月島もんじゃストリートにぶらりと行ってしまいます。
今回は、わらしべさんのもんじゃ焼きをいただきました。明太子もちチーズを堪能。チーズたっぷりでおいしいでした。


月島もんじゃわらしべ_コピー もんじゃ焼_コピー

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2019年08月17日 21:48

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